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理事長のことば

潮来こども園の理事長である近藤良のコラム

理解は愛から(2)

「キリスト教保育」8月号掲載

近藤 良 ク ラ リ ネ ッ ト 奏 者 / 潮 来 こ ど も 園 理 理 事 長

 ケルン国立音大に留学したことで生まれて初めて理解される喜びを知りました。拙いドイツ語にも関わらず経験がないほど多くの友人が与えられました。驚くべきは、それまで短所・欠点と指摘されてきた多くが、突如として長所あるいは才能と呼ばれるようになったことです。人間関係に苦手意識を持っていた私は、常に誤解されるのを恐れ、気を付けて生きてきましたが、それでも尚、誤解により人間関係が終わりを告げました。

 従ってドイツで理解されたとき、それは何かの勘違いによるものではないかと不安に感じていたのですが、やがてそれこそ杞憂に過ぎないと気づかされることになります。

 不慣れな外国語での生活でありながらも、正しく理解されることに繋がったのはいったい何だったのでしょうか。私には思い当たることが一つあります。それは音楽もまた言葉だということです。

 詩人リルケは「音楽に寄せて」で、音楽を「あらゆる言葉が絶えて初めて響く言葉」と語っています。半世紀以上も音楽の世界に身を置いてきた私からすれば、リルケの言葉を待たずとも音楽が言葉であるのは周知の事実となっています。

 近年、非認知能力という言葉が幼児教育界で語られるようになりましたが、音楽家の私からすれば、音楽が非認知能力の最たるものにみえます。そして、音楽がコミュニケーションをとるうえでの最善のツールだとは、これまでの数々の経験から確信を深めています。例えばケルン音大では、先生の前でクラリネットをひと吹きすれば、それまで経験しなかったかのような理解が得られ、人間関係が深まりました。それは学生たちとの関係でも同じで、それまで得られなかった深い友情が芽生えました。音楽は人間の奥深いところで語り合う魂の言葉のように思えてなりません。

※本稿は、月刊誌『キリスト教保育』掲載原稿を、許可を得て転載しています。

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